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zoom RSS  幻の直木賞候補? 「シャクシャインが哭く」

<<   作成日時 : 2017/07/17 05:01   >>

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 旭川の作家三好文夫さん(1929-78)の「シャクシャインが哭(な)く」を読みました。北方文芸・72年2月から7月号まで連載され、潮出版から本になっている。三好さんはアイヌを取り上げた小説が多く、「重い神々の下僕」は65年上期の直木賞候補作。「シャクシャイン」が出たころは、過激派の爆弾事件が頻発。静内・真歌公園のシャクシャイン像台座の知事名(町村金吾)が削り取られる事件も起きた。三好さんの名作もそんな混沌とした世情に吹き飛ばされたようです。

 ヤフオクで落札した21冊のうち、すでにあるのが13冊。うち4冊が72年版で「シャクシャイン」の連載が載っていた。ざっと目を通していただけなので、ダブり本を改めてめくる。未読の「シャクシャイン」がおもろくて、本棚の2冊を加え全6回を読んだ。

 三好さんは直木賞候補だったんですね。小学校の先生を辞めて41歳で作家生活に入り、48歳で亡くなった。同人誌活動をして旭川文学学校長も務めたが、78年7月に大雪山愛山渓で急逝。ネットで調べてみたが、詳しいことは分からず病死のよう。愛山渓の山の村の村長もやっていたそうです。
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北方文芸72・2月号から連載が始まった「シャクシャインが哭く」

 「シャクシャイン」は、放送局ディレクターの主人公が秘宝探しを持ちかけられるところから始まる。知人の探偵が「シャクシャインが大量の砂金を埋蔵したことを記す古文書がある」と明かした。時価数億円という。アイヌは文字を持たなかったので、松前藩がらみの記録らしい。写真を見せられるが、虫食い状になっていて詳しい場所などは判然としない。

 1669年に松前藩打倒を目指して蜂起したアイヌたちは鉄砲隊の近代装備に敗れる(シャクシャインの闘い)。首長のシャクシャインは和睦の宴でだまし討ちに遭って命を落とす。前年に白老アイヌの首長オニシクルを殺害したシャクシャインは砂金場を接収、大量の砂金が行方知らずだという。

 物語は秘宝探しとともに、不明点が多いシャクシャインの生涯を主人公が調べ上げていくという2本立ての展開。松前藩は函館戦争の混乱で事実上崩壊して史料なども散逸、シャクシャイン関連の文献も少ない。それが秘宝のミステリーを厚いベールに覆う。

 小説の書かれた72年というのは、アイヌ解放同盟が結成された年に当たる。アイヌ革命論を叫ぶ過激派(太田竜ら)も加わって、北海道は騒然としていた。シャモが描いたアイヌという批判もあり、せっかくの三好さんの力作も騒音の中で埋没したようだ。

 直木賞候補作の「重い神々の下僕」は北海道文学全集11巻「アイヌ民族の魂」にあったので、読んでみました。アイヌの男がダイナマイト窃盗容疑で捕まり、小学校で同級生だった主人公(新聞記者)が無実を信じて援護しようとするが拒否される。これも重いテーマの佳作でした。

 三浦綾子さんも旭川だし、北海道には注目された作家が多数いたんですね。北方文芸がしっかりとその足跡を記録しているからさすがです。開催中の北方文芸展(道文学館)に「シャクシャインが哭く」の生原稿も展示されていました。

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