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zoom RSS 30年ぶり「北の事件簿」読み切る

<<   作成日時 : 2017/05/25 04:34   >>

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 佐野洋さんの「北の事件簿」(新潮文庫)はカバーも取れて、本棚の隅ですっかり黄ばんでいた。奥付を見ると、昭和61年の初版・・そうか、30年前というとアサヒの阪神支局が銃撃されたころ。憲法記念日の事件、組合の副委員長をやっていて「道新労組」の名前でおくやみと激励の電報を打ったのを思い出しました。突然、組合に出されたので事件簿は読みかけのままだった。

 佐野洋(1928-2013)は読売記者から推理作家になる。1953年5月、新人記者として札幌でサツ回り始め4年間、北海道の事件事故を取材した。書き出しは「札幌支局記者時代」。ソ連のスパイとされた関・クリコフ事件(53年8月)や白鳥事件にかかわった北大生逮捕など佐野さんが担当した事件が出てくる。

 最初の殺人事件は記者1カ月で起きた。札幌のタクシー運転手が射殺された。遺体の運ばれた北辰病院に行くと、被害タクシーがあり、白衣の男が中を調べていた。佐野さんが近づくと、バッジを見て「ああ、読売さんか。面白いものを見つけた。これだよ」と小びんを見せてくれた。「毒薬かもしれない」といわれたが、ピストル事件と関係ないと思い、詳しく聞かずに中央署に向かった。

 翌日の道新夕刊に「犯人の警察官(鑑識)逮捕」の特ダネが載る。犯人は現職の国警警部補だった。鑑識ミスの記事をタイムスに書かれ、むしゃくしゃしながらタクシーに乗り、何かで言い争いになって射殺したという。車内にあった小びんは青酸カリが入っていて、ラベルに「国警鑑識課」とあった。警部補が自殺するために持ち出していた。特ダネを逃した上に抜かれた佐野さんの苦い体験でした。

画像 「北の事件簿」は80年から3年間、道新の月刊ダンに連載されたものを文庫本にしたものです(カバー写真はネット、ダンは図書館から)。北海道は記者になり結婚して娘さんも生まれた、佐野さんの第二の故郷。79年に富良野に山小屋(別荘)をつくって避暑に訪れた。そんな時に連載エッセイの依頼があり、「北の事件簿」がスタートした。

 2部の「事件を推理する」、3部「推理小説に創る」に出てくる事件は80年前後に北海道であった怪事件や迷宮入りの事件を取り上げ、佐野さんが大胆に推理しています。平取事件(一家4人射殺)や通り魔事件、梅田事件に電電職員の電算機犯罪、函館駅5千万円盗難や中標津の8千万円事件もある。

 わたしが札幌に転勤してサツ回りになったのが81年3月。サツ1年、司法(裁判・検察)1年でしたが、当時の事件がいくつも取り上げられている。

 私がトンペイ回り(市内署担当)になって、すぐに起きたのが5月末の琴似イトーヨーカドー裏の"通り魔殺人"だった。白昼、子供2人と歩いていた父親がフードで顔を隠した男に突然刺されて死亡。男は凶器のナイフを捨てて逃げた。ヨーカドー(駅横通りの旧店舗)裏はまだ古い木造の建物があり、人通りも少なく子供以外の目撃者はいなかった。

 当時、全国で通り魔事件が相次ぎ、琴似の殺人も「通り魔か」と注目された。(未解決で96年に時効)

 ところが、佐野さんは推理作家として「通り魔ではないストーリーもある」と推理した。

 清張の短編「捜査権外の条件」をヒントに、犯人は通り魔を装った怨恨の可能性もあるというのだ。清張さんの犯人は、男に捨てられ自殺した妹の復讐をするのに7年間、じっと待った。7年も前の出来事は人の記憶から遠ざかり、警察の捜査圏外になる。

 琴似の被害者は真面目で恨みをかうような人物ではないと周囲が口をそろえた。佐野さんは結婚する前の8年から10年くらいの間にトラブルがあり、犯人は通り魔が多発していた時期に合わせた。現場が人通りのない場所というのも通り魔的ではないとみる。

 なるほど、さすが推理作家だと感心しました。当時、「捜査圏外の条件」など知らなかった。サツ回りとして、清張ぐらい読まなきゃだめですね。「ゼロの焦点」や「点と線」くらいしか読んでいない。昔の恨みというのは、想定外でした。

 「捜査圏外の条件」はちょっと前、BSの再放送で見たし、最近は刑事・検事ものドラマをよく見る。刑事フォイルは傑作だったし、緊取の祐希さんの目がいい。最近の警察は防犯カメラ頼りで捜査力が貧弱みたい。マスコミも衰えが著しいし、元気なのは芸能・スポーツ界くらい。共謀罪は強行可決するし、困ったニッポンです。

 もし生まれ変わったら、絶対サツ回りですね。TVドラマみたいに記者が事件を解決できる訳じゃないけど、本やドラマの蓄積があれば、楽しく推理しながら仕事ができるに違いありません。

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