脱文学社会をいやす「ファンタジー」の世界

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 渡辺京二 さんの「夢ひらく彼方へ・上」(亜紀書房、図書館本)を読む。副題が「ファンタジーの周辺」。「黒船前夜」など歴史の専門家が、ファンタジーとは意外でした。渡京さんの一押しは、米の女性SF作家アーシュラ・グウィンの「ゲド戦記」でした。

 渡京さんは熊本在住の89歳。3歳年上の石牟礼道子と親しく、長いこと病床の介護に当たった。1昨年に石牟礼さんが亡くなり、心身の喪失感から抜け出すために読み返したのが、ファンタジーの「ナルニア国物語」(英ルイス、1950-56、全7巻)だった。いやされた渡京さんいわく「すぐれたファンタジーのすごさを痛感した」。

 「夢ひらく彼方へ」は、熊本市内の書店で2019年に14回開いた講義を2冊にまとめた。第1講「読書について」によると、石牟礼さん亡き後、どっと疲れが出て長い歴史叙述はしんどくなった。しゃべるのならまだ出来る。80年代に続けた「人類史講義」の資料も多数残る。そんな時に講義の依頼があった。

 本物のファンタジーとして取り上げた3冊はゲド、ナルニアと指輪物語。2000年までに1億5千万冊売れたのが、英トールキンの「指輪物語」(1937-48、全3巻)。架空の種族たちが冥王の「力の指輪」争奪のため、戦争を繰り返す。9人の旅の仲間が指輪破壊を計り、その冒険や友情を描く。

 英BBC放送の「20世紀の小説」視聴者投票で、「指輪物語」はハリーポッターやアラバマ物語を抑えて1位だった。映画やテレビドラマにもなった。

 渡京さんはこの3冊を読み返し、三者三様だという。しかし、一番感銘が深かったのは「ゲド戦記」と断言する。「自分は何者か、人として世に生まれるとはどういうことか」を追求したのはゲドだけだった、と。

 ゲド戦記(1968-2001、全6巻)は、アースシーという地球のような世界が舞台。魔法使いと龍がいる。少年ゲドは魔法使いを夢見て、養成学校に入る。魔術を身に付け、死者の霊とともに「影」を呼び出してしまう。ゲドはその影に脅かされるが、自ら影と対峙する。影はゲドの分身だった(1巻「影との戦い」)。 2-3巻は魔術師となって、アースシーの島々をめぐり大賢人に上り詰める。しかし、さいはての島で黄泉の国から悪霊を流し込むクモとの闘いに精力を使い果たし、魔法が使えなくなる。

 4巻「帰還」が事実上のクライマックス。魔術を失いフツーの人になったゲドは、生まれ故郷のゴント島に帰る。そこで25年ぶりに大巫女だったテナーと再会した。テナーは2巻「壊れた腕輪」のヒロイン。ゲドはアチュアン島の迷宮に欠けた魔法の腕輪の半分を探しに入り、閉じ込められる。だんだん弱る彼を見ていたテナーは、毎日少量の水と食糧をそばに置いてやった。大巫女といっても実権のない傀儡の身。ゲドを大宝殿に案内して腕輪の半分を発見させる。怒った古い神は宮殿を崩壊するが、2人は辛うじて脱出していた。

 2人はすでにアラフォー世代。寡婦のテナーには障害を負った養女もいたが、新しい生活が始まる。しかし、魔法使いが2人に悪意を持ち、崖から互いに突き落とすように仕組む。そこに龍が現れ、魔法使いと護衛兵を押しつぶして飛び去った。

 渡京さんは「魔法を失ってただの人になっても、そういう平凡な一生こそ最高の価値なのだ。これは相当深い考えです」と解説した。

 5年くらい前に古本屋で「ゲド戦記・第1巻」を買ったが、開くことなくブックシェア送り。50ページは読むべきだった(良否が判断できる)。1、4巻は必読ですね。


《しんぶん、おもしろいねー》
S__73539594.jpg アリちゃんが、ほおずえをついて新聞を読んでいる? 下の方だから広告かしら。このポーズ、新聞を読む時の、じいじと同じですね。S__73539592.jpg
 朝ごはんは8時前。じいじはコーヒーを飲みながら、新聞を読んでいる。メガネをはずして、片手で顔をささえて新聞をのぞきこむ。変なかっこう。「まねっこしてみると、らくちんだね」。下のほうを見ている。大きな字があり、威張ったゴリラ君(首相)がいる。9月7日にやめるみたい。「ぶんしゅんはすごーい」と、じいじがいってたよー。

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