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zoom RSS  売り切れだった小沢さんの「俳句世がたり」

<<   作成日時 : 2017/05/08 04:43   >>

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 岩波新書を買いに街に出る。ジュンク堂にないので紀伊国屋へ回る。ない。ススキノの文教堂なら客層が違うのであるかも。ここにもな〜い。久しぶりに本を探し歩く。といっても、新しい自転車だからスーイスイ。小沢信男さんの「俳句世がたり」は結局、アマゾンで入手しました。

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月刊「みすず」9月号は昨秋、道立図書館で撮る



 小沢信男「賛々語々 秋風や」(月刊みすず9月号・2016年)

 秋風やひたひたと来るものの影 彰彦
 こんな小句集(はがき二つ折り大の『月並句集』)が作ってもらえるのも、やはり人柄でしょうなぁ。ご当人はどうみても飲んべぇで破滅型の私小説家だったのに先輩知友に愛され後輩に慕われた。(略)
 2010年2月4日またまた脳出血で歿、享年76。生涯の著作が21冊。そして22冊目がさきごろ刊行された。未収録の雑記類まで拾いあつめて『川崎彰彦傑作撰』。400頁の大著です。
 生前は無縁の純粋愛読者お二人の発意と尽力に、多年の知友が呼応し、北海道新聞社も製作協力して、歿後6年目の美挙でした。すぐにほぼ売り切れてしまったらしく、部数限定が残念ながら、心楽しく笑えます。(略)

 昨年9月16日のブログ、川崎文庫34「ああ、団地」の後に、月刊誌「みすず」の表紙裏に連載の小沢さんコラムが傑作撰を取り上げたことを載せました。

 この「賛々語々」、7年分73作が「俳句世がたり」として岩波新書になる(昨年12月20日発刊)。川崎さんの「秋風や」はコピーがあるので、新書はまず図書館で借りました。

 やっぱいいですね。本になると輝きが違う。これは川崎コレクションの一冊だ。そんな訳で買いに走りました。

 どこの書店にもない、初版は部数を絞って売れたら増刷の手か。「岩波よお前もか」と心楽しく笑って、アマゾンを待つ。

 引き込まれるように読了し、「うーん、これはすごい本だ」。子規や市井の俳人たちの傑作句を選んで、いまの世を考える時評になっている。反原発に反戦、ゆがんだ社会をただす。さすがの小沢さん、89歳のウンチクが染みわたる。

 2010年4月から連載が始まり、年ごとに7章にまとめています。

 「津波の町の揃ふ命日 武玉川」。第2章(11年)の最初の句は胸を締めつける。3・11です。「俳諧武玉川(むたまがわ)」というのは、江戸中期(1750年代)の人事百般をうたった雑俳集。この時代も天災は庶民を苦しめた。小沢さんは東北の大震災を260年前の句に重ね合わせた。

 「われらは大量生産大量消費こそが生活の進歩だぞ、という路線を一目散に突進した。なににつけしっぺ返しはあるものだぞ。おかげでいまや、天災は、ほぼ人災にほかならず、福島原発はどうなることか」と嘆く。

 「労咳の頬美しや冬帽子」という芥川龍之介の句から、原発事故による甲状腺がんを想起(12年1月)。15年の「様々な人が通つて日が暮れる」も武玉川の句。快適な明け暮れにむかえたはずの高齢化社会は、目まぐるしいばかり。非正規労働者が4割、残業また残業の無報酬。失業とホームレスに自殺者。流行(はや)るはスマホ中毒という現代に徒労感をにじませる。

 世がたりは続きます。川崎さんの傑作撰は刺身のつま(人物のひとこま)であって、その句もすごい。笑った後に続くのが相模原の障がい者施設の19人殺しでした。一億総活躍の叫び声に「ひたひたと来るものの影」、それが今の時代の病理の露出だと小沢さんは見抜く。

 これは疲弊したニッポンに警鐘を鳴らす銘かたりです。売り切れになるわけだ、と納得でした。 

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